先日、ある中国・香港合作映画を紹介しました。
「デスパレート 愛されてた記憶」という邦題の映画です。
個人的に大好きな映画です。
海岩という作家の小説『玉観音』が原作で、映画の原題も「玉観音」です。
実はこの作品はドラマ版もあります。
それも2003年の「玉観音」と、2011年の「新玉観音」があるんです。
繰り返し映像化されているということは人気があるのでしょうね。
以下、うっかりネタバレする可能性があるので、気になる方は戻ってください。
自分は今まで映画版しか観たことがなかったのですが、最近改めて好きだなと思って、
以前から買うだけ買って読んでいなかった原作小説を少しだけ読んでみたんです。
中国語なので全部読むのは疲れちゃいそうで、とりあえずヒロインの「安心」と
若者「毛杰」の会話が知りたいと思ってその辺だけちょいちょいと読みました。
…なんと、それだけで結構印象が違いました。
まず驚いたのは「安心」も「毛杰」もどちらも原作では子どもっぽいということ。
というか、そもそも二人とも20歳すぎくらいの設定のようです!想像より若いな!
映画では彼らの年齢に関する言及はなかったと思います。
映画で「安心」を演じたヴィッキー・チャオは当時20代後半に突入していたはず。
綺麗で若く見えるとはいえ、それなりに落ち着いていました。
一方ニコラス・ツェーは当時22歳くらいだったと思うので、年齢的には原作に合致しています。ただ、ニコラスは実年齢より大人っぽい雰囲気出てましたね。
ということで、映画を観て2人は24~25歳くらいかと思っていた自分は驚きました。
そして、2003年のドラマも少し観てみたんです。
映画とぜんっぜん雰囲気が違ってズッコケそうでした。
まず、ヒロインが世間知らずな少女っぽい。
ヴィッキー・チャオの凛々しい「安心」のイメージを持っていた自分には衝撃。
そして「毛杰」は…昔の台湾アイドルか!と突っ込みたい。
あなた、F4にいましたっけ?と尋ねてしまいそう。
(ってことは、当時の感覚ではイケメンってことなのか…)
なんなら「安心」の夫、「鉄軍」もやべえ…こんなんなの!?って感じです。
でも…でも…原作小説をところどころ読んで分かったんです。
どうやら、ドラマ版が小説に忠実なようだということに。
ドラマの「安心」には正直イライラさせられっぱなしなのですが、どうやらそれが海岩先生の描いた「安心」に近いようです。
自分の悪いところを分かってるような分かっていないようなところとか、それでいて主張するところとか…世間知らずそうにみえて打たれ強いところとか、正直視聴者に好かれなさそうなヒロイン…(笑)
「毛杰」もドラマ版は粘着質なめんどくさいヤツといった印象で好きになれない男なのですが、やはり原作でもそういう迷惑キャラのよう。
外見はハンサムだと描写されていたのですが、一人の女に拒まれてもいつまでも執着する性格は完全に非モテです。
つまり、映画版「玉観音」は視聴者がイライラしないように、感情移入できるように、そしてキャラクターに魅力を感じられるようアレンジされているようですね。
映画の「毛杰」は田舎の青年だけどとてもカッコよくて非モテには見えませんでした。
粘着質な描写はあまりありません。
視聴者がヒロインと一緒になって恋しちゃいそうないい男。
で、よく考えたら2人の出会い方もより運命的なイベントにされています。
もう、色々と原作とちがうやん。
自分が好きだったのは「玉観音」っていう作品じゃなかったのかもと思いました。
2003年の映画用にアレンジされたストーリーが好きだったんです。
本来の「玉観音」じゃなくて…。
前に「デスパレート 愛されてた記憶」という邦題にケチをつけたのですが。
いろいろ調べたらやっぱりこれでも良いのかもって思いました(笑)
中国では映画版もドラマ版も「玉観音」ですが、実際雰囲気が違い過ぎるし。
もしかしたら、日本語タイトルつけた人はわざと「玉観音」という言葉を使わなかったのかもしれませんしね。
原作と映画が全然違うということはよくあると理解していたつもりでしたが、さすがに好きな作品だっただけに微妙にショックを受けましたね。
まあ、これも映画と原作小説の両方に触れる醍醐味です…。